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日本人メジャーリーガーの活躍を応援し、メジャーをさらに楽しむためのコラム「日本人メジャーリーガー応援宣言!」。今回は27試合連続安打をマークするなど、打撃好調をキープするイチロー外野手(シアトル・マリナーズ)について取り上げることにしよう。連続安打こそ途切れたものの、翌日には3安打の活躍を見せるなど、バッティングの調子はまったく落ちていないイチロー。今季は開幕から出遅れた分、遅れを取り戻そうと猛チャージに出ているようだ。

 メジャーリーグについて学術的な研究活動を行う「ベースボール・カレッジ」では、春学期の授業がすべて終了した。学生たちはそれぞれの故郷に戻り、思い思いの夏休みを過ごしているようだ。そんな中、ある独立球団でインターンを始めたゴードンは…

5月はやっぱり絶好調! メジャートップの快打連発

ゴードン(学生) 「GM、失礼します! 今夜のゲームの準備もすべて完了いたしました」

ウィル(独立球団GM) 「ゴードン、お疲れ様。君はなかなかの働き者だね。その働きに免じて、今夜の試合からは場内アナウンスも担当してもらうことにしよう」

ゴードン 「えっ、本当ですか?それは嬉しいなぁ。私は将来、メジャーのスタジアムで場内アナウンサーになるのが夢なんですよ」

ウィル 「じゃ今日が、夢への第一歩というわけだな。しっかり頑張ってくれたまえ。これが今日の出場メンバー表だ。選手の名前と顔をしっかり覚えてくれたまえよ」

ゴードン 「はい、分かりました。我がチームのスーパースター、ティムは今日も1番ライトでスタメン出場ですね」

ウィル 「ああ、彼は走攻守に優れているし、昨日まで25試合連続ヒットを続けている。ファンの人気も高いから、うちのチームにとっては大事なスーパースターなんだ。ただ、自他共に認める目立ちたがり屋だから、試合では思いっきり盛り上げてやってくれよ。彼は自分のことを、イチローの最大のライバルだと自称しているからね」

ゴードン 「それはいくらなんでも、自分を良く言い過ぎなんじゃ… まあ、イチローの連続試合安打記録はストップしちゃいましたけどね」

ウィル 「彼は毎晩、イチローのプレーをスポーツニュースでチェックしては『また今日も、オレのライバルが打ったな。負けちゃいられないぜ』と闘争心を燃やしているのさ」

 いまや、世界中の野球選手にとって目標となっているイチロー。今季はまさかのアクシデントで開幕から故障者リスト(DL)入りとなったが、4月15日に例年よりも遅めの“開幕”を迎えてからは、持ち前のバットがさび付く気配はまったくない。とりわけ、例年得意としている5月は、メジャートップの49安打を放つなど月間打率.377、ノーヒットに終わったのは5月5日の1試合だけと言う固め打ちを披露。「ミスター・メイ」ぶりを、今年も如何なく発揮したのである。

 6月に入っても、イチローの打棒は全く衰える気配を見せていない。6月3日のボルティモア・オリオールズ戦では、連続試合安打を自己最高の「27」にまで更新した。だが5日に行われたミネソタ・ツインズ戦では、バットから快音は響かず。5回には二塁へ緩い当たりを放ち、得意の内野安打かと思われたが、わずかにおよばずアウトになった。また延長10回には、相手の守護神ジョー・ネイサン投手と対戦。最後のチャンスだったが、ここではあえなく空振り三振に倒れ、結局はノーヒット。連続試合安打は惜しくも途切れている。

 それまで、記録自体には淡々とした態度を見せていたイチローだったが、やはり心中には期するものがあったらしく、試合後には「悔しいですよ」と無念の心境を隠さずにはいられなかった。またメジャーリーグの公式サイトでも「イチローの連続安打が27試合でストップ」と、この“事件”を伝えていた。

“ディマジオの背中”は遠かったが… 今季は200本安打に集中?

ウィル 「おっ、うわさをすればティムがやって来たぞ。ハイ、ティム元気かい?」

ティム 「ああウィル、オレ様はいつでも元気だぜ。おい若いの、今日からオレの打席をしっかり盛り上げるんだぞ」

ゴードン 「はい、分かりました。今夜のゲームでもヒットを打ってくださいね。あなたの“ライバル”であるイチローは、連続試合安打がストップしちゃいましたからね」

ティム 「フフフ、そうだな。まあイチローも頑張ってはいるが、やはり毎試合ヒットを打つためには、心身ともに最高のコンディションでないとダメだな。その点、オレ様はグラウンドに立つ時はいつも100%のコンディションで臨んでいるんだ。今夜の試合でも、ファンのために確実にヒット2本を打つことを約束しようじゃないか」

ゴードン 「プッ、また吹きますね。それに、いくらヒットを続けていると言っても、あなたはまだ独立リーグの選手じゃないですか。メジャーの第一線で活躍しているイチローとは比較になりませんよ」

ティム 「そ、そんな事はないぞ! オレの実力を見抜くことができないメジャーのスカウトたちの眼が節穴なだけだ。オレはこの独立リーグで57試合連続安打を記録し、21世紀のジョー・ディマジオとしてメジャーへ殴りこみをかけるんだ。今に見ていろよ」

 連続試合安打と言えば、やはり米国の野球ファンにとっては、1941年にジョー・ディマジオ(元ニューヨーク・ヤンキース)が樹立した、前人未到の56試合連続ヒットが今でも語り草となっている。メジャーリーグでは今季、ライアン・ジマーマン三塁手(ワシントン・ナショナルズ)が30試合連続ヒットをマークしているが、イチローの27試合はそれに次ぐ今季2位の大記録。イチローらの記録と比較して見ても、ディマジオの成し遂げたことはいかに素晴らしいことか分かるだろう。

 もちろん、イチローが今季中に再び連続試合安打をスタートさせることは十分期待できる。しかし、ディマジオの半分以下の記録でもメディアが騒ぎ出したことを考えると、やはりこの記録を追いかけることは、あまりにも重圧がかかり過ぎる。そうでなくてもイチローには今季、9年連続200本安打というメジャー記録への挑戦が待ち構えているのだ。「ディマジオ超え」を目指すのは、とりあえず来季以降のお楽しみにしておきたいところだ。

 いずれにしても、記録へのチャレンジが途切れたところから調子を崩すことはよくあること。だがイチローに関しては、このセオリーはまったく通用しない。記録が途切れた翌日には、今季5度目となる「猛打賞」をマークし、チームの勝利に貢献して見せたのだ。さらに、7日の試合でも4打数2安打と連日のマルチヒット。今季の打率を.356に上げ、首位打者にも躍り出た。今季の安打数はこれで77本。マリナーズの残り試合数は105だが、あと123本のヒットを打てば、9年連続の200安打へと到達することになる。今季はこれまで、49試合の出場で77安打を量産しているわけだから、イチローならば十二分にクリアが可能な数字だ。現時点では、大記録達成の確率は90%としておこう。

 ところでマリナーズは6日現在、28勝29敗と黒星が先行し、ア・リーグ西地区首位テキサス・レンジャーズからは5.5ゲーム差の3位に沈んでいる。ただ、今季のマリナーズは1点差の接戦が多い。競り合いをしっかりとモノにしていくことができれば、オールスター前には地区優勝争いに加わる可能性も十分に残されている。チームを勝利へと導くためには、イチローにはさらに一踏ん張りしてもらうしかないだろう。

 中でも楽しみなのは、9日から敵地で行われるオリオールズとの3連戦だ。11日の同カードでは、現在DL入りしているオリオールズの上原浩治投手が復帰登板する予定で、イチローとの日本人対決が実現しそうだ。イチローとしては、日本代表の一員として2006年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を共に戦った仲間である上原相手に、メジャーの「大先輩」としての貫禄を見せ付けたい。逆に上原にとっても、復帰後最初の対戦打者がイチローならば、相手に不足なし。普段から仲の良い2人だけに、グラウンド上では遠慮なしの真っ向勝負を期待しようではないか。

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